押出し、スカイビング、ダイカスト、鍛造、プレス、CNC加工別に、実際の最小発注数量とサンプル・量産納期、MOQを下げる方法を整理します。
カスタムヒートシンクのMOQと納期:工法別一覧
結論から言うと:カスタムヒートシンクの MOQ はサプライヤーの都合ではなく工法で決まります。押出しはプレス1回の運転で金型を回収する必要があるため標準 500-1,000個、CNC加工は 1-50個、ダイカストは 2,000-5,000個、プレス(板金)は 5,000-10,000個が起点です。サンプル納期は 5-12営業日、量産はサンプル承認後 15-30営業日です。
MOQを「交渉で下げるもの」と考えると話が噛み合いません。MOQの正体は、その工法が成立する最小のロットサイズです。金型代、段取り時間、材料の最小購入単位、検査の手間。この4つが積み上がった結果が提示数量であり、工法を変えれば数字も変わります。
工法別のMOQと納期
下表は中国の標準的な受託生産における目安です。同じ工法でも、フィン形状や公差で前後します。
| 工法 | 標準MOQ | サンプル納期 | 量産納期 | MOQがその水準になる理由 |
|---|---|---|---|---|
| 板材・棒材からのCNC加工 | 1-50個 | 5-10営業日 | 10-18営業日 | 金型不要。費用はプログラムと治具で、数量に関係なく発生する |
| アルミ押出し+CNC | 500-1,000個 | 10-15営業日(金型含む) | 15-25営業日 | プレス運転は数百kg単位で管理され、金型の回収が必要 |
| 塊からのスカイビング | 100-500個 | 7-12営業日 | 15-22営業日 | 段取りに加え、短いロットほど材料歩留まりが悪い |
| ダイカスト+CNC仕上げ | 2,000-5,000個 | 20-30営業日(金型含む) | 20-30営業日 | 金型費が押出し金型の5-10倍で、数量で吸収する必要がある |
| 冷間・熱間鍛造 | 1,000-3,000個 | 15-25営業日 | 20-30営業日 | 鍛造金型は高価で、部品ごとに専用になる |
| プレス(板金)ヒートシンク | 5,000-10,000個 | 15-25営業日 | 15-25営業日 | 順送金型の費用を回収するには高い数量が必要 |
押出しのMOQが高い理由
押出しは1回のプレス運転で数十本から数百本の形材を同時に押し出します。運転そのものは数時間で終わりますが、金型の装着、温度立ち上げ、寸法確認、後処理を含めると、短いロットでは1本あたりの負担が急増します。さらに押出し工場は材料をkg単位で購入するため、極端に少ない数量は材料の端数ロスとして跳ね返ります。500-1,000個という数字は、この2つの制約が交わる地点です。
MOQを下げる6つの現実的な方法
第一に、既存の標準形材から選ぶこと。金型が不要になり、MOQはCNC加工の水準まで下がります。第二に、押出し後にCNCで追加工する前提で、断面を単純化する方法。第三に、複数部品を1本の形材から切り出す設計。第四に、初回のみ金型費を全額負担し、単価を数量で最適化する方法。第五に、年間数量を提示して分割納付にする方法。第六に、試作はCNC、量産は押出しという段階的な移行です。いずれも「数を減らす」のではなく「金型の回収単位を小さくする」発想です。
納期を決めるのは何か
納期は加工時間ではなく、待ち時間で決まることが多いです。とくにサンプル承認は買い手側の工程で、ここが最も長く、最も管理されていません。
| 工程 | 標準的な所要日数 | 発生しやすい問題 |
|---|---|---|
| DFM検討と見積 | 1-3営業日 | 図面の情報不足、公差の問い合わせが往復する |
| 金型・治具の製作 | 7-15営業日(押出し)、20-30(ダイカスト) | 試作でフィンの充填不良が判明し、1回の修正で1週間延びる |
| 初品・サンプル | 金型完成後 5-10営業日 | アルマイト色の不一致、加工後の平面度不良 |
| サンプル承認 | 3-10日(買い手側) | ここが最長かつ最も管理が効かない工程 |
| 量産 | 10-25営業日 | プレスの空き枠、繁忙期のアルマイト待ち |
| 検査・梱包 | 2-4営業日 | CMMの滞留、平面度不良による手直し |
| 輸送 | 航空 3-7日、海上 25-40日 | 港の混雑、繁忙期のサーチャージ |
追加費用なしで納期を短縮する方法
最も効くのは、サンプル承認の内部期限を決めることです。3-10日かかる工程のうち、実際に必要なのは2日程度であることが多く、残りは社内の承認待ちです。次に、DFMの段階で平面度とアルマイト色の許容範囲を先に決めておくこと。手戻りの多くは、この2点で発生します。第三に、繁忙期を避けた発注計画です。春節前後と夏の電力制限期は、押出しとアルマイトの双方で滞留しやすくなります。
よくある質問
MOQは数量だけで決まりますか?
いいえ。材質、公差、表面処理、検査の有無でも変わります。同じ押出しでも、黒アルマイトとマスキングが多い部品は、まとまった数量が必要になります。
1個から試作できますか?
CNC加工なら 1-50個の範囲で対応できます。押出しは金型が必要なため、1個からの対応は現実的ではありません。まずCNCで形状と熱を確認する順序を推奨します。
サンプル代は量産時に返金されますか?
工場により異なります。金型費とサンプル加工費を分け、量産発注時に金型費のみ相殺する契約が一般的です。条件は発注書に明記してください。
納期が遅れる原因は何が多いですか?
金型の修正とサンプル承認の待ち時間です。この2つで全体の大半を占めます。加工そのものは数日で終わる工程です。
図面と想定数量、希望納期をお送りください。工法ごとのMOQ、金型費、サンプルと量産の納期を比較表で提示します。


