ヒートシンクに必要な適合書類を整理。RoHS 3、REACH SVHC、UL材料認定、紛争鉱物の扱いと、サプライヤーが自己宣言できる範囲を解説します。
ヒートシンクのRoHS・REACH・UL対応の実務
結論から言うと:アルミヒートシンクでは通常3種類の書類が必要です。RoHS 3(EU 2015/863)の宣言、最新の候補リストに対する REACH SVHC 宣言、そして買い手が求めた場合の材料証明または試験報告書です。UL認定は、ヒートシンクがUL登録の組立品の一部である場合にのみ関係し、対象は材料または構成部品であって、単体の完成品としてのヒートシンクではありません。紛争鉱物の宣言は、米国のサプライチェーンに流れる品目でよく求められます。
コンプライアンス書類は、揃っているかどうかより、内容が現在の状態を反映しているかが重要です。3年前の宣言書は、多くの場合、提出しないより悪い結果を招きます。
ヒートシンクに適用される書類
| 要求事項 | 適用の可否 | 対象範囲 | 発行主体 |
|---|---|---|---|
| RoHS 3(EU 2015/863) | EU向けに販売する場合は適用 | 2015年に追加された4種のフタル酸エステルを含む10物質 | サプライヤー宣言+材料証明。要望により第三者試験 |
| REACH SVHC | EU向けに販売する場合は適用 | 成形品あたり重量比 0.1% を超える ECHA 候補リスト物質 | 最新リスト版に対するサプライヤー宣言 |
| 紛争鉱物(3TG)とコバルト | 米国サプライチェーンで通常要求される | タンタル、スズ、タングステン、金、および増加中のコバルト | サプライヤーの CMRT 宣言+製錬所情報 |
| UL 746 認定 | UL登録組立品の内部に限る | 使用される高分子材料(ギャップパッドや接着剤など) | 材料メーカーが保有する UL イエローカード。ヒートシンク工場ではない |
| 積層板・樹脂部品の UL 796 / UL 94 | 非金属部品がある場合のみ | 絶縁部品の難燃性 | 材料メーカー |
| カリフォルニア Prop 65 | カリフォルニア向けに販売する場合は適用 | 指定化学物質。アルミ自体ではなく、コーティングと接着剤が対象になり得る | サプライヤー宣言 |
| ISO 9001 / IATF 16949 | 買い手の要求による | 品質マネジメントシステムであり、製品適合ではない | 認証機関 |
適合宣言が意味するもの
サプライヤーの宣言書は、試験結果ではなく表明です。多くの場合、材料メーカーの証明書と工程リストを根拠に、自社製品が該当物質を含まないと述べているだけです。したがって、宣言の価値は、根拠資料をたどれるかどうかで決まります。宣言だけを求めると、根拠のない1枚のPDFが返ってきます。
本物の宣言とPDFを分ける3つの質問
第一に、対象ロットと製造日を特定できるか。第二に、物質名ではなく物質群と閾値で答えられるか。第三に、下請けの表面処理工場まで範囲に含まれているか。この3つに即答できない宣言は、監査で崩れます。とくにアルマイトは外注されることが多く、宣言の範囲から漏れやすい工程です。処理液の化学物質まで把握しているかを確認してください。
UL:買い手が混乱するポイント
UL認定は製品ラベルではなく、材料に対する認定です。ヒートシンク本体のアルミは UL 746 の対象ではなく、対象になるのは絶縁シート、ギャップパッド、接着剤などの高分子材料です。したがって「ヒートシンクがUL認定」という表現は不正確で、正しくは「使用材料が UL 746 に登録されている」となります。組立品としてUL登録を取る場合は、完成品メーカー側の申請になります。
監査に耐えるコンプライアンスファイルの作り方
書類は更新のきっかけとセットで管理します。RoHS 3 宣言は工程または材料の変更時、および年1回の再確認。REACH SVHC 宣言は候補リストの更新ごとで、年に2回が目安です。ビレットとコーティングの材料証明はロットごとに保管し、顧客が要求する期間保持します。CMRT は年1回、またはサプライヤー変更時。工程リストは処理変更時。第三者の試験報告書は、顧客が継続試験を求める場合、通常 1-2年ごとです。
| 書類 | 更新のきっかけ |
|---|---|
| RoHS 3 宣言(署名・日付入り) | 工程または材料の変更時。変更がなければ年1回の再確認 |
| 候補リスト日付入りの REACH SVHC 宣言 | 候補リストの更新ごと。年2回 |
| ビレットとコーティングの材料証明 | ロットごと。顧客が要求する期間保管 |
| CMRT 紛争鉱物宣言 | 年1回、またはサプライヤー変更時 |
| アルマイト処理液を含む工程リスト | 工程変更時 |
| 第三者試験報告書(要望時) | 顧客が継続試験を求める場合、通常 1-2年ごと |
よくある質問
アルミヒートシンクに RoHS は必要ですか?
EU向けに販売する場合は必要です。アルミ自体は規制物質を含みませんが、コーティング、はんだ、梱包材が対象になります。
REACH の 0.1% は何に対する比率ですか?
成形品1個あたりの重量比です。部品全体に対する比率であり、塗膜だけの比率ではありません。
UL イエローカードは誰が提出しますか?
材料メーカーです。ヒートシンク工場は、使用材料のカードを入手して転送する立場になります。
宣言書の有効期限はありますか?
法令上の期限はありませんが、候補リストの更新や工程変更で内容が古くなります。年1回の再確認を運用に組み込んでください。
仕向地、用途、必要書類のリストをお送りください。該当する宣言の雛形と、根拠資料の範囲を提示します。


