2026年のアルミ押出し金型の実勢価格、寿命、所有権の決め方、1個あたりの金型償却費の計算方法を具体的な数字で解説します。
ヒートシンク押出し金型の費用と償却計算
結論から言うと:ヒートシンク用アルミ押出し金型は、2026年の中国で標準 USD 800-3,500 です。断面の複雑さ、幅、中空か中実かで変わります。金型寿命は通常 3-8トンの押出し、おおよそ 15,000-40,000 m で、これを超えると補修が必要になります。ダイカスト金型は USD 6,000-35,000、プレス金型は USD 4,000-25,000 です。CNC加工は金型不要ですが、プログラムと治具の費用が発生します。
金型費は見積の中で最も誤解される項目です。単価に含まれているのか、別建てなのか、誰の資産なのか。この3点が曖昧なまま発注すると、2回目以降の注文で想定外の請求が発生します。
工法別の金型費用
下表は中国の標準的な価格帯です。数量と形状で前後し、複雑な中空断面は上限側に寄ります。
| 金型の種類 | 標準価格(USD) | 納期 | 想定寿命 | 所有権の整理 |
|---|---|---|---|---|
| 押出し金型(単純な中実断面) | 800-1,500 | 7-12営業日 | 3-6トンの押出し | 初回注文に上乗せすることが多く、工場所有となる場合がある |
| 押出し金型(薄肉フィン形状) | 1,500-3,500 | 10-15営業日 | 3-8トン | 別建てにして所有権を書面で確保する |
| 押出し金型(中空チャンバー付き) | 2,500-6,000 | 15-20営業日 | 3-5トン | ポートホール型またはブリッジ型で、保守負担が大きい |
| ダイカスト金型(アルミ) | 6,000-35,000 | 25-40営業日 | 80,000-150,000ショット | ほぼ顧客所有。ショット数と保守責任を明記する |
| 冷間鍛造金型セット | 4,000-15,000 | 20-30営業日 | 100,000個以上 | 顧客所有が標準 |
| 順送プレス金型 | 8,000-40,000 | 25-45営業日 | 500,000ストローク以上 | 顧客所有が標準 |
| CNCプログラムと治具 | 品番あたり 150-800 | 2-5営業日 | 該当なし(再利用可) | 一時費用。再注文で再度請求されるべきではない |
見積書に出てこない経済性
金型費そのものより、償却の設計が価格を大きく左右します。仮に USD 2,000 の金型を、ベース単価 USD 8.50 の部品に割り付けるとします。200個なら1個あたり +10.00 で 18.50、実に +118% です。500個で +4.00 の 12.50(+47%)、2,000個で +1.00 の 9.50(+12%)、5,000個で +0.40 の 8.90(+5%)、20,000個なら +0.10 の 8.60(+1%)まで下がります。
| 発注数量 | 金型費 USD 2,000 の償却 | USD 8.50 のベース部品への影響 |
|---|---|---|
| 200個 | +10.00 | 18.50(+118%) |
| 500個 | +4.00 | 12.50(+47%) |
| 2,000個 | +1.00 | 9.50(+12%) |
| 5,000個 | +0.40 | 8.90(+5%) |
| 20,000個 | +0.10 | 8.60(+1%) |
この表が示すのは、金型費は数量の関数であって、部品の難易度の関数ではないということです。少量で「金型が高い」と感じるのは、金型が高いのではなく、割り算の分母が小さいだけです。
金型は誰が所有すべきか
結論は明確で、買い手が所有すべきです。金型費を支払ったのに所有権が工場にある場合、発注先を変更するときに金型を持ち出せません。契約書には、金型の図面番号、製作日、材質、保管場所、そして「買い手の要求により返却または移設する」旨を記載します。押出し金型は小型で輸送も容易ですが、ダイカスト金型は重量物になるため、移設費用の負担者も決めておきます。
金型寿命と保守、摩耗した金型の隠れコスト
押出し金型は使うほど摩耗し、ベアリング部が広がります。すると形材の寸法がプラス方向に膨らみ、フィン厚が徐々に増えます。放熱性能はわずかに良くなりますが、筐体との嵌合や基板との干渉が問題になります。摩耗は突然ではなく徐々に進むため、ロットごとの寸法記録が唯一の防御策です。金型1本ごとに、累積トン数、再研磨の日付、ベアリング修正の履歴を記録するよう求めてください。
金型費用を最も動かす要因
順番は明確です。第一に断面の複雑さ、とくにフィンの高さと間隔の比。第二に中実か中空か。中空はポートホール型やブリッジ型になり、費用と納期が一段上がります。第三に押出し比とプレス能力。第四に許容公差で、厳しい寸法は金型の修正回数を増やします。第五に表面処理の要求で、金型そのものではありませんが、試作段階での手戻り要因になります。
よくある質問
金型費は数量が増えれば安くなりますか?
金型単体の価格は数量で変わりません。変わるのは1個あたりの償却額です。20,000個では USD 2,000 の金型が1個あたり +0.10 まで下がります。
金型の寿命は何年ですか?
年数ではなく押出し量で管理します。3-8トン、おおよそ 15,000-40,000 m が目安で、使用頻度が低ければ年数は長くなります。保管状態も寿命に影響します。
金型を他社工場へ移せますか?
所有権が買い手にあれば移設できます。押出し金型は比較的容易ですが、ダイカスト金型は重量と設置精度の面で制約があります。契約時に移設条件を決めてください。
金型費が無料という見積は信用できますか?
多くの場合、金型費は単価に埋め込まれています。数量が少ないのに金型無料と書かれていれば、単価側で回収していると考えるのが自然です。内訳の提示を求めてください。
断面図(寸法入り)と年間数量をお送りください。金型費、償却後の単価、寿命と保守条件をまとめて提示します。


