CNC試作と押出しサンプルの違い、費用、納期、熱検証の方法、試作から量産金型へ安全に移行する手順を説明します。
ヒートシンク試作の進め方:CNCと押出しの違い
結論から言うと:ヒートシンクの試作は、押出しではなく板材または棒材からのCNC加工で行うべきです。CNC試作はサイズと形状により1個あたり USD 80-450、承認済み図面から 5-10営業日 で出荷され、金型は不要です。押出しサンプルは金型の発注を決めた後でのみ意味があり、必ず金型試作から出てくるため、熱的にも寸法的にも量産品を代表しません。
試作の目的は、量産品を先に作ることではなく、設計判断を確定させることです。何を検証するのかを決めずに試作を発注すると、寸法は合っているが熱が足りない、という結果だけが残ります。
CNC試作と押出しサンプルの比較
| 板材からのCNC試作 | 押出し金型の試作品 | |
|---|---|---|
| 必要な金型 | なし | 金型一式 USD 800-3,500 |
| 適する数量 | 1-50個 | 5-20個(試作ロット) |
| 納期 | 5-10営業日 | 金型込みで 15-25営業日 |
| フィン形状 | ストレートフィンのみ。アスペクト比は工具の届く範囲に制限 | 薄肉で高密度なフィンを含む、実際の押出し形状 |
| 熱的な代表性 | 近いが同一ではない。合金とフィン厚は管理できるが表面処理が異なる | 代表性は低い。試作のフィンは大きめに出て、アルマイト条件も同一ではない |
| 寸法的な代表性 | 図面通りに加工され、量産より厳しい | 試作断面は公差の厳しい側に寄る |
| 1個あたり費用 | USD 80-450 | USD 15-60 に金型費を加算 |
試作が実際に検証するもの
CNC試作で検証できるのは、形状の成立性、基板との干渉、取付穴の位置、そして熱性能のおおよその水準です。検証できないのは、押出し特有のフィン形状、フィン根部の充填、そしてアルマイトを含む表面状態です。つまり試作は「設計の可否」を決めるもので、「量産の可否」を決めるものではありません。この区別を曖昧にすると、試作で合格したのに量産で熱が足りないという事故が起きます。
試作ヒートシンクの費用
| 試作の種類 | 費用の目安 | 納期 |
|---|---|---|
| 小型の切削ヒートシンク、100 x 100 mm 以下、ストレートフィン、1個 | USD 80-150 | 5-8営業日 |
| 中型、150 x 150 mm、ベース切削とタップ穴あり | USD 150-280 | 7-10営業日 |
| 大型、200 mm 超、多段取り | USD 280-450 | 8-12営業日 |
| ヒートパイプまたはベーパーチャンバー付き | USD 350-900 | 12-20営業日 |
| 流路と継手を切削した液冷プレート | USD 400-1,200 | 12-20営業日 |
| 同一設計の小ロット 10-20個 | 1個あたり単価の 60-70% | 8-12営業日 |
費用を左右するのは材料より段取り数です。ベースの両面加工、タップ穴、ポケット加工が増えるほど、治具の作り直しが発生します。試作の見積を下げたい場合は、形状を削るのではなく、加工基準を1つに統一してください。
熱検証:何を測り、どう測るか
最低限必要なのは、消費電力、周囲温度、フィン入口の風速、そして部品フットプリント直下のベース温度です。この4つが揃えば熱抵抗を C/W で算出できます。自然対流の試験では、向きがそのまま結果を変えます。垂直置きと水平置きで条件が変わるため、実装と同じ向きで測ってください。熱界面材も、量産で使うものを試作段階から使います。異なるグリスで測った数値は、比較の役に立ちません。
試作から量産へ、想定外を出さない移行
移行の鍵は、試作の図面と量産の図面を同一リビジョンで管理することです。試作で形状を変えた場合、その変更が図面に反映されているかを確認します。次に、押出しに切り替える時点で、フィン厚とベース厚の公差が変わることを織り込んでください。試作は切削、量産は押出しであれば、同じ図面でも寸法の分布が変わります。最後に、金型試作で熱試験をやり直します。ここを省略すると、量産立ち上げ後に性能差が発覚します。
よくある質問
試作に金型は必要ですか?
CNC試作には不要です。押出しサンプルを作る場合のみ、USD 800-3,500 の金型が必要になります。
試作の納期はどのくらいですか?
CNCで 5-10営業日 が標準です。ヒートパイプや液冷プレートを含むと 12-20営業日 になります。
押出しサンプルで熱試験をしてもよいですか?
参考値としては使えますが、量産の保証にはなりません。試作のフィンは大きめに出るため、熱抵抗は良く出る傾向があります。
試作の数量は何個が適当ですか?
熱試験と組立確認を含めるなら 3-5個 が実用的です。1個では、試験で破損した場合に再発注が必要になります。
STEPデータ、使用環境、熱目標をお送りください。試作の要否、工法、数量、納期を整理し、量産移行の条件まで含めて提案します。


